エミリーへの手紙


エミリーへの手紙
4140053909 キャムロン・ライト 小田島 則子 小田島 恒志

日本放送出版協会 2002-06-25
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ハリー・・・・・・おじいちゃん  だれともうちとけないのに孫娘のエミリーとだけはなぜか気が合う。毎週金曜日にエミリーが訪ねてくるのを心待ちにしている。
キャサリン・・・・・・ハリーの妻  ふたりの幼い子どもを遺して交通事故で死んでしまった。ハリー以外はだれも彼女のことを覚えていない
ボブ・・・・・・ハリーの息子  父ハリーは、無口で頑固でいつも何を考えているかわからないと思っている。自身は妻のローラと離婚調停中
ローラ・・・・・・ボブの妻  家を出てしまったボブと、まだもとに戻れるんじゃないかという期待を胸に、娘のエミリーと暮らしている
エミリー・・・・・・ボブとローラの娘、7歳  ハリーにとてもなついている。まだ両親の間になにがおこっているのかはわからない  

ハリーは、もう自分の人生が終わりに差しかかっていることに気づいていた。アルツハイマーの症状もある。2、3日前にはトイレと勘違いして前庭のアプローチで小便をしてしまったし、うがい薬だと思い込んで洗剤で口をゆすぎそうになった。そしてとうとう毎週会いにきてくれる孫娘を判別できず、唾を吐きかけてしまったらしい。そんな自分が苛立たしくもあり、なによりもこんな姿の自分が愛する孫娘の記憶に残されると思うと耐えられない。  

男手ひとつで育てた子どもたちとは心が通わず、クリスマス以外には会うこともない。だが、孫のエミリーにだけはどうしても、ほんとうの自分を知っておいてほしかった。そのための手立てはもう何年も前から考えていた。残されたあと少しの時間でどうしてもこの仕事を完成させなければならない。 

そんなある日、ハリーは眠るように死んだ。  

息子のボブは、父の死にも不思議と悲しみを感じなかった。  

ハリーが残したものは、自分の手で建てた古い家と自作の詩集だけ。だがある日、一篇の意味のないようにみえる詩のなかに、秘密の言葉が隠されていることにエミリーが気づいた。   

エダブラー ミダブラー りっぱに いえる
からくり くりだす れいかん たかまる
パズルも スットンキー わかれば あたる  
ドキドキ はらはら えいえんの とき  

この詩に隠されている言葉、それは、ハリーがコンピュータに残したエミリーへの手紙を開くためのパスワードだった。  

それから、ひとつひとつの詩に隠されたパスワードを探すために家族はいつしか力を合わせていく。パスワードがひとつ見つかるたびに、一通の手紙が開かれていく・・・・・・。  

いったい、ハリーが本当に伝えたかったことはなんなのか? 父の想いとは? 夫婦とは? そして家族とはなんなのか? 『エミリーへの手紙』には、笑いと涙と謎解きと、そして子どもに語り伝えたい物語が散りばめられている。 エミリーへの手紙は、すべての人々に宛てられた手紙です。

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