読書感想文のポイント 「おじいちゃんのごくらくごくらく」小学校低学年の部
おじいちゃんのごくらくごくらく 西本 鶏介 長谷川 義史 鈴木出版 2006-02 by G-Tools |
長谷川さんの絵から、ふたりのしあわせなのほほんとした感じが伝わってきます。とっても仲良しのおじいちゃんとゆうたくんですね。
おじいちゃんとのお風呂のようす、幼稚園のおむかえ、ゆうたくんとおじいちゃんがおたがいに大好きだってことが伝わってきます。だからこそ、予想がついていたことだけど結末はとても悲しいお話です。
悲しいおわかれとあなた
とても大切なひととのおわかれをしたことがあるあなたには、この本はきっと読むのもつらいかもしれません。でもこの本にでてくるゆうたくんのように、悲しいけれどそれを乗り越えたことが、きっとあなたもあるのではないでしょうか・・・。
「ご
くらくごくらく」って、しあわせなきもちになることだよ。おじいちゃんのくちぐせ「ごくらくごくらく」はそんなきもちを表した言葉でした。ゆうたくんに
とっても、「ごくらくごくらく」はしあわせになれる言葉になりました。つぶやくことでおじいちゃんを思い出し、ちょっとかなしいけど、とてもしあわせなき
もちになれました。こうしてゆうたくんはおじいちゃんとの別れを乗り越えたと思います。
- あなたはどんな大切な人との思い出をもっていますか?
- それはどんなことですか?
- 今はどんな気持ちですか?
- それはどうしてですか?
あなたと大切な人とを結びつけるものはないですか?あなたにとっての「ごくらくごくらく」を見つけて、あなたの大切な人にお手紙を書いてみるのもいいのではないでしょうか・・・。
家族について考えてみる
おじいちゃんとゆうたくんに目が向いてしまいますが、おとうさんやおかあさんはどんな気持ちだったでしょうか。
おとうさんやおかあさんにとっては、おじいちゃんはお父さんなんですよね。当たり前のことですが、二人にとっても悲しい出来事だったと思います。
いっしょにお風呂に入ったとき、おとうさんはおじいちゃんを抱きかかえてました。病院への運転もお父さんがしています。
あわせてこんな本も読んでみては?
三世代同居の家庭は、全国で10%程度。また8割の人が病院で死を迎えているとのこと。つまり今の人は直接身近な人の死になかなかふれることがないのですね。
小学校低学年の課題図書ですが、死について考えさせる深いテーマを持つお話です。ただ悲しい、だけでなくその後残された僕たち私たちはどうやって生きていこうか・・・。そんなことも考えることができるお話だと思います。
死をテーマとした絵本は他にもあります。「100万回生きたねこ」や「わすれられないおくりもの」も同じように死とそれを乗り越えてつながってく愛情についてのお話です。ぜひあわせて読むことで、考えて欲しいと思います。
雑感
わたしも母を早くに亡くしました。そういえば母のくちぐせってなんだっけ?実はちゃんと覚えていないんですよね。
でも不思議です。亡くなった母の声は、ちゃんと頭の中にはあのころの声で聞こえてきます。自分の名前を呼ぶあのあったかな声です。聞こえてくる
とそのときの顔も浮かんできます。そして何だかがんばらなきゃって気持ちになります。背中を押されているような気がしてきます。ゆうたくんも「ごくらくごくらく」とつぶやくと、おじいちゃんの
やさしい声とあったかな笑顔を思い出すのでしょうね。
ひとからひとへ伝わっていく何か・・・。今は亡き人の言葉や思い出を思い出してあげることで、その人の愛情をまた理解できるのでしょう。悲しい気持ちになるかもしれないけど、そうすることで一歩前に確実にすすめるようになるのでしょうね。
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