読書感想文のポイント 小学校高学年の部 「なぜ、めい王星は惑星じゃないの?」
なぜ、めい王星は惑星じゃないの?―科学の進歩は宇宙の当たり前をかえていく 布施 哲治 くもん出版 2007-12 by G-Tools |
太陽系の惑星といえば9個でした。すい・きん・ち・か・もく・ど・てん・かい・めい と惑星の名前を覚えてきました。一時期は冥王星の軌道が海王星よりも内側になるということで、ど・てん・めい・かい と覚えなおしたこともありました。律儀でしたねぇ。(1979年から1999年まで)
ところが2006年の夏のことです。突然、冥王星は惑星ではない!というニュースが流れました。え?!何をいまさらって思いました。すい・きん・ち・か・もく・ど・てん・かい・・・・。うーん、すっきりしません。
センセーショナルな報道とその頃の気持ちを思い出させてくれた本です。でも、なぜ惑星でなくなったのか…。その理由はしっかりと理解できてなかったと思います。
なぜそうなのか。きちんと理解せずに報道の結果だけをうのみにしていることって多いんだよなぁ。
宇宙の広さにびっくり
地球を直径10cmのりんごとすると、月は2.5cmのきんかんの大きさになります。距離はおよそ3m。ふーん。じゃあ太陽との距離をりんごで表現すると、なんと1.2km。しかも大きさは11m、小型の気球くらいの大きさになります。え?いきなりそんなになるの。今回の話題の中心冥王星になると、なんと46kmも先に浮かんでいるビー玉になってしまうなんて・・・。宇宙の大きさにびっくりです。
科学ってそのままではわかりにくいことが多いですね。それを身近なもので表現すると、なんとなく理解できるようになってきます。東京ドーム450個分の大きさとか・・・ね。
科学の進歩について
なぜ冥王星が惑星でなくなったのでしょうか。それは科学が進歩して、太陽系の遠いところで次々に外縁天体が見つかったからです。つまり科学が進歩した結果なんですね。
正しいと思っていたことが見直されることは、実は科学の進歩にとっては大事なこと。でも冥王星の騒動では、冥王星が惑星でなくなるのは悲しい!とか冥王星を守れ!とセンセーショナルな感情的な報道が多かったと思います。科学の進歩の結果、新しいことがわかったんだ、冥王星が惑星でなくなったのは、実はよかったことなんだって意見はほとんど聞くことはできませんでした。
作者の言葉を引用してみます。
科学的な研究とは、常に新しいことを知り、それまでわかっていたことを見直していくことです。その結果、事実だと思っていたことが変わっていくこともあります。それが科学の進歩です。
実は変わっていくのではなく、本当のことに、さらに近づいているのです。本当の姿は一つしかありません。本物はひとつです。私たちの知識は、本物に向かって少しずつ近づいている途中なのだ、といえます。
正しいことが正しいことだ。決まっていることは正しいことだ。最初から間違っているかもしれないって思いもしない。自分も含めてそう思い込んでいるかもしれません。
でも科学の進歩は、それまで正しいと思っていたことが実は間違っていると教えてくれる。決してそれは悪いことではなく、正しいことにまた一歩近づけたんだって教えてくれる。そういう考え方が科学の前提なんだな。
理系の人、科学の人には当然の考えなんだろうけど、文系の大人の発想が固まりつつある自分にはない考えでした。この本を読んでみた高学年のあなたはどうでしたか?
宇宙の科学はどんどん進歩しています。宇宙探査機や大型望遠鏡も続々登場しています。これからも何かあたらしいことがどんどんわかるかもしれないって、なんだかワクワクしてきますね。
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